木南がこのエリアを任されて8ヶ月が過ぎた。エリア内の顧客数はおよそ40社。住宅専門の内装会社、店舗専門の内装会社、大型物件専門の内装会社、すべてが揃っている。
 年内売上は合計すると数億円。高いレベルにあるエリアだ。
 エリアは放っておいたら腐る、
 と木南は考えている。
 育てるものだ。
 まず全体のバランスをみて、矯正したいところがあれば、自分の思う方向に修正する。それが自分らしさを表現することだとも思う。
 この地区の場合はスタイルカーテンが弱い。とりあえず、クロスの半分くらいまでに引き上げたい。


 扱い商品を大別すると、クロスなどの壁材、カーペット・フローリングなどの床材、カーテン・ブラインドなどの窓装飾材、となる。
 3者間に理想的な比率はないが、できればそれぞれ3分の1くらいずつがいい、と木南は考えている。一種のバランス感覚だ。
 スタイルカーテンの良いところは付加価値が高いこと。内装会社にとっては工事が必要ないから、手離れがいいし、クロスなどに比較したら交換のサイクルも短い。
 ここ1週間ばかり、木南は住宅専門の内装会社でカーテンを勧めた。
 話せば施主は納得しますから。
 フォローは確実にしますから。

   

 2週間ほどして、ポツポツと吉報が入ってきた。
 やってみたらうまくいったよ。
 納期をまちがわずに頼むよ。
 木南が予想したとおりだった。
 施主は、デザイン的にも、価格的にも、こちらに誘惑されるはず。
 カーテン経験のない内装会社が最初の一歩を踏み出してくれれば、コトはスムーズに運ぶ。
 内装会社がカーテンに積極的になれば、エリアを育てる木南の狙いのほかに、内装会社自身も成長する。
 冗談だろうが、ある会社では、
 ウチの専属経営アドバイザーにならないか、なってくれ
 といわれた。